成立

特許技術の導電性ナノインクで電子回路の生産プロセス変革に挑む「C-INK」

株式会社C-INK

エレクトロニクス

申込み金額 40,100,000

目標 10,000,000円

上限 60,000,000円

当案件は募集期間経過のため終了いたしました。多くのお申込みを頂きありがとうございました。

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ポイント
  • エレクトロニクス産業で普及が期待される「銀ナノインク」で国内有数の製造実績
  • これまで困難だった電子回路の安定的かつ高精度なインクジェット印刷を可能にする技術優位性
  • 信頼性の高さや多品種生産の容易さで、NASDAQ上場でGPS関連機器の世界大手Garminなどで採用
こんな方に応援してほしい
  • 世界的に年平均19%の成長率が予想される、プリンテッドエレクトロニクス市場の領域に投資したい方
  • 製造現場の効率化・省資源化を進め、エレクトロニクス産業を革新させるという挑戦を応援したい方
  • 地産地消型ビジネスを支援し、国内への製造プロセス回帰を目指すビジョンに共感する方
  • 詳細
  • 事業者情報
  1. 目次
  2. 事業概要
  3. 前回募集からの進捗
  4. なぜやるのか
  5. プロダクト・ソリューション
  6. ビジネスモデル
  7. 市場の成長性
  8. 事業戦略・マイルストーン
  9. メンバー
  10. 既存株主
  11. 応援コメント
  12. 募集情報
  13. 事業のリスク
  14. 質問回答

C-INKは、エレクトロニクスにおける電子回路の製造に不可欠な「導電性インク」の開発に取り組む岡山大学発のベンチャー企業です。

現在主流のインクでは困難な「電子回路の自動生産」を可能とする独自の特性を兼ね備えており、GPS関連機器の世界大手Gamin(ガーミン、NASDAQ上場)などで採用されています。

私たちの身の回りの電子機器を、素材から刷新することで、市場拡大が見込まれるエレクトロニクス産業の製造効率化と省資源化を目指します。

前回募集からの進捗 GPS世界大手の米Garminで量産開始!国内外で評価が進み売上高は前期比約131%に

C-INKは、2022年12月にイークラウドで247名の個人投資家から約3,898万円の資金調達を行いました。

前回調達から現在に至るまでに、航空機器からスポーツ用ウェアラブルまで手掛けるGPS関連機器の世界大手Gaminでの採用が決定したほか、電子回路製造の試作用プリンターの開発、パートナー企業との連携を加速させています。

①Garminでの採用と量産開始

Garminは、航空機内に搭載するシステム制御用タッチパネルの外周配線の製造で、C-INK製の導電性インク「DryCure(ドライキュア)」を採用しました。

高い信頼性が必要な航空機器の製造でC-INK製品の導入が実現したのは、多様な回路をインクジェット印刷で簡単に自動生産でき、また、信頼性の高い配線形成が可能といった、C-INK製品の特徴が評価されたためです。

採用直前でインク組成の変更依頼を受けるなどイレギュラーな対応もあり、タッチパネルの量産開始は2023年10月と、当初計画から数か月程度、後ろ倒しとなりました。しかし今期(2024年7月期)中には、タッチパネルの別品番の機種にも採用が広がる見込みとなっています。

C-INKにとって、高い信頼性が必要な航空機器での導入実績は、今後の販路拡大で大きなアピールポイントになると考えています。

現在さらに、C-INK製品の材料評価を進めている海外の主要企業があり、同様のタッチパネル向け配線用途などでの顧客開拓を加速させる考えです。

②試作用プリンター開発

C-INKは、電子回路基板製造者や電子機器メーカー側の導電性インクの導入ハードルを下げるため、電子回路製造の試作用プリンターの開発を進めてきました。

前回調達時には2023年中の販売を目指していましたが、正確な描画が可能なC-INK製品の特徴を最大限に活かすため、より高品質な印刷が可能なプリンターメーカーでの製造に変更しました。

このプリンターは線幅50μm(マイクロメートル)の微細印刷でも隣接するラインに重なることなく、きれいに描画する印刷精度を持っており、2024年3月ごろの提供開始を予定しています。

※μm(マイクロメートル):1mmの1/1000

試作用プリンターを開発するのは、「銀ナノインク」を用いたC-INK製品を導入すると、製造工程が大きく変わるためです。電子回路の製造を自動化できる「インクジェット印刷」が可能となり、製造プロセスの大幅な効率化、省資源化を図ることができます。

※銀ナノインク:数10ナノメートルの銀のナノ粒子が、液中に分散している状態のインク。従来利用されてきた「銀ペースト」より粘度が低く、必要量のインクを吐出させる「インクジェット印刷」が可能

一方で、導入企業にとっては新たな印刷機への置き換えや印刷工程のすり合わせが必要となります。新しい試作用プリンターの販売価格は従来機(約1,000万円)よりも安価な300~400万円程度とする予定で、C-INK製品を使ったインクジェット印刷を手軽に体験してもらい、導入実績を積み上げる狙いです。

③パートナー企業との連携

C-INKは、導電性インクの初期評価をスムーズに進めてもらうため、大手印刷機メーカーなどとタイアップして、電子回路基板製造者や電子機器メーカーに対し電子回路の製造方法の提案を行っています。

このうちプリンター大手のセイコーエプソン株式会社【6724】とは共同で、「銀ペースト」からの代替を希望する企業に対し活用分野の提案を進めています。

現在、製造自動化ニーズの高まりを背景に、企業からの相談は相次いでいる状態です。顧客候補には大企業もあり、試作・検討で数年以上を要する可能性もありますが、一度採用が決まれば大量購入が想定されます。

また、光センサやレーザーなど世界最高クラスの光技術を持つ浜松ホトニクス株式会社【6965】とは、「ナノインクのレーザー焼結」という新しい技術の開発を手掛けています。

従来は長時間オーブンに入れてナノインクで印刷した電子回路を焼結させていました。しかし電子回路にレーザーを当てることで、短時間で、かつ密着性高く、ナノインクを焼結させることが可能です。

すでに浜松ホトニクス経由でレーザー焼結技術の海外マーケティングを進めています。

▶浜松ホトニクスとC-INKの技術についてはこちら

※リンク先のウェブサイトは、イークラウドのウェブサイトではありません


C-INKに対するパートナー企業のコメント

セイコーエプソン 技術開発本部 副本部長 木口浩史氏

エプソンではインクジェットの産業応用の拡大を目指しています。その中で、インクジェットを用いた電気回路形成に関して、製造業などからの相談件数が増加しています。

エプソンはインクジェットに用いる複数社の導電性インクを扱っていますが、中でもC-INKのDryCureの評価が最も高くなっています。理由は、印刷の安定性と焼結性、描画性をすべて持っていることで、エプソンとしても安心して顧客に紹介できる唯一のインクです。

さらに近年、立体物印刷のニーズが増しており、エプソンでもDryCureを用いた立体印刷デモを公開し、顧客の注目を得ています。

インクジェットを用いた電気回路形成は、工場自動化の後押しになるほか、従来の製造方法に比べてエネルギー消費が少なく環境配慮型の技術であると言えます。

製造のバリューチェーン全体を俯瞰したC-INKの取組みは、環境課題を正面から解決する極めて具体的・実効的なものであり今後、改めて世界に認められていくと考えています。

浜松ホトニクス株式会社

プリンテッドエレクトロニクスは、今までのエッチングによる除去加工に比べ、金属の使用量を大幅に低減できる可能性を持っています。

またC-INK製品は、浜松ホトニクスのレーザー焼結の特性を生かすことができる印刷用導電素材です。従来の焼結方法に比べ消費電力の大幅な低減が期待できるほか、加工の高速化、プリンテッドエレクトロニクス基板における設計自由度の大幅な向上が可能であると考えています。

これら技術は顧客ニーズが大きく、また昨今注目を集めている地球環境保護の観点からも、有益な技術に成り得ると考えています。

C-INKはこうしたパートナー企業との連携を深め、引き続き販路拡大を目指す計画です。

以上①~③が主な事業の推移です。

前回調達時点の2023年7月期売上目標は、Garminでの量産と試作用プリンターの提供がずれ込んだため、未達となっています。

一方、C-INK製品の導入検討のための材料評価を進める国内外の企業からの注文が増えたため、売上高は前期比約131%となりました。

とりわけ海外企業からの引き合いが増えつつあり、ウェブサイトの外国語対応などに伴って、インクジェット印刷の産業応用を目指す海外メーカーや研究機関からの注文が増加しました。この結果、海外売上高は前期比約284%(約582万円)と大きく伸長しました。

★前回の募集ページはこちら

なぜやるのか独自技術を活用した導電性インクで、電子回路の製造プロセスを劇的に効率化

IoTや5Gの浸透に伴い、あらゆるモノの電子化が進んでいます。自動車やスマートフォンはもちろん、超軽量のウェアラブル端末や折りたためるディスプレイなど、電子機器の形態は、産業用・家庭用を問わず、これまでに増して多様化・複雑化しています。

これらの電子機器を支える主要部品の一つが電子回路基板です。電子回路基板は、電子部品同士の信号や電力の伝送などに必要な配線を配置した部品です。電子機器の血管・神経ともいうべき、なくてはならない存在です。

電子回路基板の形成に欠かせないのが「プリンテッドエレクトロニクス」と呼ばれる印刷技術です。金属など電気を通す物質を含んだ「導電性インク」を用い、基板上に電子回路を形成します。

この導電性インクの中で、現在主流となっているのが、樹脂のペーストの中に銀の粒子を分散させた「銀ペースト」です。

しかし、銀ペーストにおいて使用される「スクリーン印刷」という印刷方法は、印刷用の版(スクリーン)の制作、インクの充填、版の洗浄など手作業が多いという課題が存在します。そのため、電子回路基板製造者や電子機器メーカーは、人件費というコストの問題に加え、自動生産プロセスを構築することが難しいという問題を抱えることになりました。

製造業では近年、製品を製造する国で素材や部品も調達する「地産地消」型サプライチェーンの構築が進みつつあります。背景には、新型コロナウイルス感染症や各国貿易摩擦の拡大などに伴い、世界的なサプライチェーンの混乱が顕在化したことなどが挙げられます。地域経済を支える工場の海外移転などが指摘されてきた日本でも、製造現場の国内回帰が加速すると予想されています。

慢性的な人手不足の問題を抱える日本の製造業の国内回帰を後押しするのが、省人化のカギを握る自動生産技術です。ただ電子回路の製造現場では、銀ペーストという材料が理由でほとんど生産自動化が進まず、依然として手作業に頼らざるを得ない状況となっているのです。

電子機器の多様化により一層の生産性向上が求められる状況下にもあり、電子回路基板製造者や電子機器メーカーではこれまで以上に生産プロセスの自動化ニーズが高まっています。

自動生産のニーズが高まる中、注目されているのが「銀ナノインク」を活用したインクジェット印刷です。銀ナノインクとは、数10ナノメートルの銀のナノ粒子が、液中に分散している状態のインクを指します。

銀ナノインクは銀ペーストに比べて粘度が低く、安定的に回路を印刷することが可能です。また、回路の設計から印刷までをデジタル化・自動化できるため、製造現場の大幅な工数削減が可能となります。

また、版の全面にインクを塗り付けるスクリーン印刷と違い、インクジェット印刷は設計した部分のみにインクを出すことができます。銀の国際価格は年々高騰しています。インクジェット印刷は銀の使用量も大幅にカットできるため、材料の銀の消費が少ない分コストを抑えることができます。

実際、使い捨て心電図用の電極の生産を行う企業における試算では、C-INK製品を使ったインクジェット印刷により、電子回路形成で年間5,000万円かかっていた人件費を、1,000万円に削減できる見込みです。使用していた銀の材料費も50%削減できる計算です。

このように、銀ナノインクとインクジェット印刷は、製造現場の生産性向上とコスト削減を実現できる技術といえます。私たちの身の回りの電子機器を、素材から刷新することで、製造現場の持続可能性を高めるとともに、日本の製造業の再興や、世界の地産地消型サプライチェーンの構築に、C-INKは挑戦します。

プロダクト・ソリューション 独自の粒子加工技術で安定性・量産性に優れた銀ナノインクを生産

C-INKは、国内でも有数の銀ナノインクの製造実績を持っています。

銀ナノインクにもいくつかの種類がありますが、他社製品がトルエンなどの有機溶剤に粒子を分散させた「溶剤系」なのに対し、C-INK製品の『DryCure(ドライキュア)』は水に溶かした「水系」のナノインクです。

DryCureの主原料は、C-INKの独自技術で合成した銀のナノ粒子です。

金属のナノ粒子は本来、化学構造的に不安定で変質しやすい性質を持っています。安定させるためにはナノ粒子の周りに有機物などで保護層を形成する必要がありますが、C-INKは粒子の表面を加工する独自技術で、この保護層を薄くすることに成功しています。

保護層を薄くすることにより、従来のナノインクに比べ電気を流しやすい性質を持たせることに成功しました。このことで、ナノインク実用化の大きな壁となっていた高温処理が不要になり、製造現場での導入が容易になりました。

この技術にたどり着くまでに、C-INKは試験管を用いた研究レベルで1万回以上の試行錯誤を繰り返しました。この特殊な銀ナノ粒子を大量生産するのも極めて難しく、高い技術が必要となります。

この合成技術に関して、C-INKは特許を取得していることに加え(特許5833540号、特許6029721号)、ナノ粒子合成に関するノウハウを秘匿することで、他のインクメーカーに対する参入障壁になると考えています。

特徴1: インクジェット印刷による安定的な細線印刷

DryCureの最大の強みは、インクジェットプリンターで安定的に微細な回路を印刷できる点です。

銀ナノインクは、一般的に、PET素材のフィルムなどに印刷するとインクが広がったり滲んだりしてしまい、クオリティの高い印刷をすることが困難でした。インクを意図した場所に定着させるためには、印刷する基板に専用の下地材を塗るなど、特別な前処理が必要でした。

一方、DryCureは基板を温めながら印刷することで、微細な配線を形成することが可能です。C-INKの独自技術によって、インクの液温を上げると金属ナノ粒子同士が瞬時に凝集し、インクの粘度を高める特性を持たせているためです。

また、他社製品でDryCureのような十分な導電性を得るためには、金属ナノ粒子の周りの保護層を高温で熱分解することが必要です。これは保護層が電気を通しにくい性質を持つためです。

第三者機関(株式会社ダン計画研究所)の調査によると、有機物の少ないDryCureは125度の加熱で十分な導電性が得られましたが、他社製品では200度以上加熱しなければ、十分な導電性が得られませんでした。

高温処理を必要とする場合、熱に弱いフレキシブル基板やPET素材への印刷が難しくなります。低温で処理できるDryCureなら、より幅広い素材に印刷することが可能になります。

加えて同機関の調査では、DryCureを使った印刷機では、安定的に精度の高い印刷ができることが確認されました。断続的に30分間印刷したところ、他社製品は途中でプリンターの吐出口(ノズル)が目詰まりしたりインクの吐出が不安定になったりしましたが、DryCureは30分間高い精度を保った印刷をすることができました。

比較的長期の保存も可能です。多くのインクは未開封の状態で冷蔵保存しても製造から1年経つと劣化するとされていますが、C-INK調べではDryCureは冷蔵保存で1年経っても変質は見られませんでした。

特徴2: 金属純度が高く、抵抗劣化が生じにくい

現在主流の銀ペーストに比べ、抵抗劣化が少ないといった特徴もあります。

DryCureをはじめとする銀ナノインクの場合、ナノ粒子同士が融着して金属結合し、アルミホイルのような純度の高い金属薄膜を形成します。このため耐久性の高い電子回路を形成可能です。また、室温85℃湿度95%の試験環境下でも内部まで酸化が進むことはなく、抵抗率の経年劣化もほとんどありませんでした

一方、銀ペーストは銀ナノインクに比べて銀の粒子が大きく、時間が経つと銀が酸化し電気が流れにくくなります。

DryCureの抵抗率は、従来の銀ペーストの10分の1以下にとどまり、銀の使用量も計算上10分の1程度で済ませることができます

※いずれもC-INKによる試験結果

特徴3: 環境負荷の少ない生産・製造が可能

DryCureは、資源消費や環境負荷の少ないサステナブルな素材です。

上記の通り、銀ペーストよりも電気を通しやすいため銀の使用量は10分の1程度に抑えられます。このほかインクジェットで印刷するため、必要な部分に必要な量のみインクを使用できます。

銀ペーストによるスクリーン印刷は、版を洗う際に洗浄用シンナーが使われることがありましたが、インクジェット印刷のためこうした洗浄工程やシンナーなどの資材も不要になります。

また銀ナノインクの中でも、溶剤系インクは、ナノ粒子の製造時に毒性を有するトルエンをはじめとした有機溶剤を多量に使い、かつ印刷時にも溶剤の揮発による作業環境の汚染が生じます。水系インクであるDryCureの原料のほとんどは銀と水で、こうした心配もありません。

このためDryCureは、人にも環境にも優しい素材として、製造現場の持続可能性を高められる可能性があります。

ビジネスモデル 国内外のメーカーにインクと専用プリンターを直接・間接販売

C-INKは「導電性インク」のメーカーとして、電子回路基板製造者や電子機器メーカーに対して、導電性インクおよび導電性インクを使用したインクジェット印刷を可能とするための専用のプリンターを販売しながら収益をあげるビジネスです。

C-INKはISO 9001(品質マネジメントシステム)、ISO 14001(環境マネジメントシステム)を取得しています。製造品質や環境を整備したことで、国内外のメーカーと直接取引を行うことも可能です。

※ISO(国際標準化機構)規格:国際的な取引をスムーズにするための国際的な規格。製品そのものを対象とする「モノ規格」や組織の品質活動や環境活動を管理するための仕組みを対象とする「マネジメントシステム規格」などがある

取り扱うインクに関しては、売上高に占める原材料費の比率が、化学産業全体の値(70%程度※)と比べて極めて低い10%程度となっています。これは独自の製造技術による参入障壁で価格競争が起きにくいことや、水系インクのため溶剤系よりも製造コストを低減しやすいことなどが主な理由です。

※経済産業省資料を基に算出

またインクを販売するためには、それを印刷するためのプリンターの提供や印刷方法の提案も重要になってきます。

そこでC-INKでは、初期評価と量産用プリンターの供給をスムーズに進めるため、主にセイコーエプソン株式会社、ナカンテクノ株式会社、マイクロクラフト株式会社といったプリンターメーカー3社や、印刷したインクのレーザー加工技術を持つ浜松ホトニクス株式会社とタイアップしています。

それぞれの印刷機メーカーとともに、電子機器メーカーのニーズに合わせた印刷方法の提案や、専用印刷機の共同開発など行っています。

各社などとの連携で大手企業での採用事例も進みつつあり、Garminでの量産のほか、別の顧客を通じて東証プライム上場の電子機器メーカーのディスプレイ内部に組み込むプリント基板向けにも導入・量産されています。

市場の成長性 プリンテッドエレクトロニクス市場は年平均成長率19%、2030年には6兆円超に拡大

あらゆる電子機器の加速度的な進化により、プリンテッドエレクトロニクス市場は今後も大きく成長することが見込まれています。

パノラマデータインサイト社のレポートによると、2021年の世界のプリンテッドエレクトロニクスの市場規模は約1.4兆円でした。2022年から2030年にかけての年平均成長率は19%で、2030年には6.8兆円規模に達すると予測されています。

※1ドル=145円で換算

プリンテッドエレクトロニクスの拡大を背景に、導電性インク市場の伸びも期待されています。導電性インクのうち、Report Ocean社の調査では現在の世界の銀ペースト市場は1兆円超と推計されています。

C-INKは、プリンテッドエレクトロニクスの劇的な生産効率化と省資源化に寄与する銀ナノインクで、現在主流である銀ペースト市場を代替していくことを目指します。

事業戦略・マイルストーン 試作用プリンター展開と海外マーケティング強化で販路拡大を計画

C-INKは今回の資金調達後、主に新型の試作用プリンターの展開や海外へのマーケティングに力を入れていきます。

C-INKは、導入実績を積み上げて行くために試作用プリンターとインクをセットで提供することが重要と考えています。

銀ペーストなどの従来素材を銀ナノインクに代替しようとすると、電子回路基板製造者や電子機器メーカー側は新たな印刷機の導入や、印刷工程の変更などが必要となります。

こうした実務上の導入ハードルを下げるため、C-INKでは現在のパートナー企業4社との連携を進めると同時に、自社で試作用プリンターの開発を進めています。2024年3月に提供開始予定で、従来機よりも安価な価格帯で販売する計画です。

また、国内顧客の獲得に引き続き力を入れるとともに、新たに海外顧客の拡大にも力を入れていきます。

国内顧客については、パートナー企業との提案や提案に対するフィードバックに基づいてインクの改良開発を進め、本格導入の後押しとしたい考えです。

加えて、海外マーケティングにも注力する考えです。C-INKの2023年7月期の海外売上高は前期比約284%(約582万円)と約3倍に伸長、海外売上比率は26.3%に拡大し、改めて世界的な電子回路基板の製造や、その効率化ニーズが高まっていることが分かりました。これを受け、現在世界で主流の銀ペーストから実用性の高いC-INK製の銀ナノインクへの代替を目指します。

2024年7月期は、中国や台湾などで提携先となる商社や印刷機メーカーの探索を行います。特に、世界の工場であり、内製化の動きも強まっている中国は、銀ペーストの大量消費国であり、銀ナノインクへの置き換えメリットを最も出しやすい国であるとC-INKは分析しています。

電子回路の製造現場における最大のニーズは生産の自動化であり、C-INK製品を用いたインクジェット印刷はこれを実現できると考えています。国内のみならず海外の協力企業とのパートナーシップを構築して、国内外での顧客への提案力を強化していきます。

C-INKのインクは原価率が低いため、売上が伸長すれば利益が確保しやすくなり、2025年7月期には営業利益が黒字転換し、以降、黒字幅が拡大する事業計画となっています。

また2027年7月期からは、量産プリンターの販売によるインクジェット印刷の普及を機にさらなる事業拡大を目指します。

銀ナノインクの製造体制の強化も行います。2026年〜2028年7月期にかけて、生産設備の拡充を行います。2028年7月期には新たな工場を建設する計画です。

  • 2024年7月期

    ・Garminで別品番のタッチパネルへ採用が拡大

    ・試作用プリンターの販売

    ・中国や台湾やでインクジェット機メーカーの探索を強化

    ・品質管理設備の強化

  • 2026年7月期

    ・生産設備の強化

  • 2027年7月期

    ・量産用プリンターの販売

  • 2028年7月期

    ・新工場建設による増産体制の整備

  • 202X年7月期

    ・株式公開(IPO)

※事業計画およびマイルストーンは、現時点の発行者の想定・見解に基づいて作成されています。そのため、将来予想に関する記述には、既知および未知のリスクや不確実性が含まれており、将来の実績や業績、成果や財務状況と著しく異なる可能性があります。

メンバーナノ材料に精通したプロフェッショナルチーム。約20年の研究で育て上げた技術で導電性インク市場の変革に挑む

代表取締役CEO・CTO

金原 正幸

北陸先端科学技術大学院大学在学時に金属ナノ材料の合成に出会い、2004年に博士号(材料科学)取得。筑波大(2004-2011)、岡山大(2011-2014)でナノ導電材料に加え、半導体や酸化物ナノ粒子の研究開発を行った。水系、有機溶剤系両方の材料開発に従事し、両者のメリットデメリットを熟知。学術論文、受賞、著書多数。世界初の、常温での塗布乾燥で実用的導電性を持つ導電性金属インクの開発に成功し、2012年にC-INKを起業した。
COO

塚田 龍

北陸先端科学技術大学院大学の金原の後輩。有機および無機化学合成に携わった。修士号取得後、添加剤メーカーに8年勤務し、研究員としてナノ材料を主とした研究開発や生産技術に携わる。C-INKでは研究開発を行いつつ製造部門・生産技術部門・品質管理部門・化学法規部門を統括。

 

なぜ私がこの事業をやるのか

Q: 研究を志したきっかけを教えてください

クレヨンを溶かしたり、虫を観察したりと、幼稚園児のころから理科が好きでした。

金属インクには、大学院の研究室で出会い「なんだこの面白い素材は」と夢中で研究に取り組んでいました。

▲ 大学卒業時の金原氏(中央)と研究室のメンバー

C-INKの基礎となった電気をよく流す素材は、私が遊び心で研究をしていたところ偶然できた素材です。

通常なら電気が流れない分子構造のはずですが、インクとして塗ってみたら信じられないくらい流れた。「すごいものをつくってしまった」と自分でも驚きました。

Q: 事業化に至った理由は?

こんなに良い素材なのだから、アカデミアの外でも役立つだろうと考え、岡山大学の助教時代に半ば勢いで会社を立ち上げました。

しかし、いくら優れた素材でも、お客様へ実際に提供できるような状態でなければ意味がありません。

最初はホームセンターにある部材などで量産機の制作に臨みましたが、銀インクが吹き上げて天井が銀色に染まったり、その灼熱のインクが降ってきたりなど、約2年は試行錯誤が続きました。

▲いまだオフィスに残る天井の銀インク痕(左) / 優れた素材特性が認められ様々なアワードを受賞(右)

課題を一つひとつ潰し、現在は大企業並みの年間2トンを安定製造できるようになりました。

Q: 資金調達手段として株式投資型クラウドファンディングを選んだ理由は?

創業した際のメンバーは同じ研究室出身の3人でした。そこから漫画『ONE PIECE』のように少しずつ仲間を集め、事業を進めてきたところです。

株式投資型クラウドファンディングを選んだのは、もっとたくさんの人たちに私たちの技術を知っていただきたかったからです。

この技術を活用できる場面は、業界を超えてもっとあると確信しています。

エレクトロニクスに詳しい方や製造に関心のある方たちの身近な存在になりたい。そして仲間になっていただきたいと考えています。

Q: 2回目のクラウドファンディング挑戦へ意気込みをお願いします!

前回の募集で目標額200%に近い調達を実現することができました。

C-INKの事業を評価してくれる人たちがこれほどいらっしゃる。それによって事業を続けられる。この強力な武器を手に入れた感覚は、C-INKを起業して初めて感じたもので、私たちにとって極めて大きな自信となりました。

事業も順調に進捗させることができ、みなさまに恩返しできるよう一層の努力を続けます。C-INKが手掛ける先端科学材料は足の長いテーマですが、ぜひこの壮大な挑戦にお力添えください。

 

受賞歴・助成金採択歴

※共同研究者として

 

メディア掲載実績

既存株主C-INKの株主・新株予約権者

C-INKは以下のベンチャーキャピタルなどから出資を受けています。

【ベンチャーキャピタル】
・MBC Shisaku1号投資事業有限責任組合
・JSR Active Innovation Fund合同会社
・TVC2号投資事業有限責任組合

その他事業会社、個人投資家など

応援コメントC-INKへの応援コメント

セイコーエプソン株式会社 技術開発本部 副本部長

木口 浩史

C-INKの強みは、金属粒子の製法のオリジナリティとそれを使いこなす生産技術です。主原料を化学合成からボトムアップ式で作るアプローチはオリジナリティが高く、粒子の反応制御にも高度なノウハウが必要です。技術優位性が非常に高く、ライバルが生まれにくいだろうと考えています。
また、C-INKが持つ金属の表面処理技術は、インクジェット用の銀ナノインクだけにとどまりません。コーティング剤や電池の電極など、さまざまな分野に応用が効く技術であり、今後の可能性は計り知れません。
さらに、必要な材料を必要な分だけ化学合成で作っていくC-INKの製法は、エシカルな環境価値が直接的にビジネスになる今の世の中にミートしています。大量生産大量消費だった化学工業を持続可能な生産プロセスに変革していける点でも、可能性を感じます。
環境課題を正面から解決しつつビジネスとして成立させる現実解はまだ世の中に多くないのが現状です。しかし製造のバリューチェーン全体を俯瞰したC-INKの取組みは、環境課題を正面から解決する極めて具体的・実効的なものであり、今後、改めて世界に認められていくと考えています。
日本の化学産業を根幹から変えようとしている、金原さん率いるC-INKをぜひ応援していただきたいです。

浜松ホトニクス株式会社

半導体製造におけるはんだ付けや樹脂溶着では、加熱炉の使用が主流ですが、加熱炉は消費電力の大きさや加工自由度の低さから、レーザー焼結への置き換えを希望する顧客が多い状況にありました。しかし従来インクの銀ペーストはその性質上、高速加熱というレーザーの特性を活かせませんでした。一方C-INKの銀ナノインクは、非常に高速に加熱しても、インクジェットで描画した配線の導電性を問題なく高められることがわかりました。これはC-INK製品がレーザー焼結に非常に向いている材料であることを示しています。
またC-INK製の銀ナノインク+レーザー焼結はプリンテッドエレクトロニクス基板の設計自由度を大幅に向上させることが可能であると考えています。
加えて、C-INKの銀ナノインクは3次元形状への印刷も可能であると伺っています。レーザー加熱は3次元形状の物体への焼結も容易に行うことができ、電子機器の小型化に寄与する立体配線加工を施した回路部品の製造も可能になるのではないかと期待しています。
プリンテッドエレクトロニクスはアディティブマニュファクチュアリング※の一種で、今までのエッチングによる除去加工に比べ、金属の使用量を大幅に低減できる可能性を持っています。昨今注目を集めている地球環境保護の観点からは、有益な技術に成り得ると考えています。
なお当社のコメントは、C-INKの製品に関する現時点での評価であり、当社はC-INK社の事業の将来性等について何らの表明や保証をするものではありません。

※アディティブマニュファクチュアリング:素材を積層することでさまざまな形状を作り出す加工方法。素材を削って加工する除去加工が主流だが、近年この積層加工が注目されている
株式会社C-INK 社外監査役
ブレークスルーパートナーズ株式会社 マネージングディレクター
株式会社Jin-Magic 代表取締役

森廣 弘司

工業素材は、自動車と並び日本の輸出産業の要です。世界シェアの過半を占める日本のマテリアル製品が多数存在し、マテリアル関連分野は日本全体の論文生産を牽引する最も国際競争力の高い戦略分野です。
C-INKの皆さんが生み出したイノベーションは、その中でも電気を通す材料をインクジェットプリンターで印刷できるインクとして、工業生産に適応できる品質・信頼性とスケールで作るオンリーワンの技術です。世界のトップ企業にそう評価され期待されています。
このような新材料が重要産業の大量生産プロセスの要になるには地道な努力と時間がかかりますが、日本に国際競争力の高いマテリアルのエコシステムがあるからこそ、その早期実現に期待できます。日本の明日のために必ず成功してほしいとの想いで日夜応援しています。

▼経歴
1983年コーネル大学工学修士課程修了。富士通株式会社入社。半導体部門にて海外の顧客・提携先とのビジネス開拓を担当。1997年米国シリコンバレーのベンチャーキャピタルTechfarm社にパートナーとして入社。ハンズオンで上場・成功買収まで支援したベンチャー多数。
株式会社C-INK 社外取締役
ブレークスルーパートナーズ株式会社 マネージングディレクター

赤羽 雄二

私はこれまで多数のベンチャーの共同創業、経営支援に取り組んできました。
比較して強く感じるC-INKの強みは、金原社長の独創性と、メンバーのやり抜く力、推進力です。手探りでのナノインク量産設備の開発、資金が枯渇しかけたことなど、数々の困難がありましたが、全社一丸となって常に壁を打破してきました。
独自技術で分散体を作る技術はユニークであり、しかも時代の要求にのっとったものです。 プリント基板の素材の代替や電池の電極など、今まさにブレークスルー技術が必要とされるプリンテッドエレクトロニクスの分野にC-INKが貢献します。
日本から世界に出るベンチャーの有力候補として、C-INKをぜひ応援いただければと思います。

▼経歴
1978年東京大学産業機械工学科、1985年スタンフォード大学大学院修士。小松製作所での8年を経て、マッキンゼーのパートナーとして14年、ビジョン・戦略立案、経営改革、組織改革、人事制度導入、幹部育成、新事業推進などに取り組む。2002年以降、ベンチャーの共同創業・経営支援をミッションとするブレークスルーパートナーズを共同創業し、今日にいたる。

募集情報本案件には以下の募集情報があります

投資金額コース:7つの投資金額コースを設けています

本募集は、以下の投資金額コースを設けています。

  • 100,000円コース
  • 200,000円コース
  • 300,000円コース
  • 500,000円コース
  • 1,000,000円コース ※
  • 2,000,000円コース ※
  • 5,000,000円コース ※

※50万円を超えるコースへのお申込みには特定投資家への移行が必要です。特定投資家の概要、特定投資家への移行申請手続きについては「特定投資家について」のFAQをご確認ください。移行申請の受領から登録完了までお時間をいただく場合があります

エンジェル税制:エンジェル税制の適用はありません

事業のリスクC-INKの事業に関するリスク

C-INKの事業に関わる主要なリスクには、次の3点が挙げられます。

1点目は顧客獲得に関するリスクです。
印刷方法変更のメリットが電子回路基板製造者さらには配線板を用いて最終製品を生産する電子機器メーカーに浸透しない場合、スクリーン印刷からインクジェット印刷への切り替えが進まず、C-INKの製品の採用が一部の特殊用途のみにとどまってしまう、または本格採用が遅れてしまうなどにより業績及び財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

2点目は競合に関するリスクです。
科学技術の進歩により、競合となる導電性インクが開発された場合、またはこれらを代替する技術が登場した場合、C-INKの製品の市場競争力が後退し、業績及び財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

3点目は財務に関するリスクです。
C-INKは2025年7月期での黒字化を計画していますが、売上が確保できない場合や、想定以上の費用が発生した場合、損失が継続し債務超過となる可能性があります。今後、売上および費用が計画どおりに推移しない場合、業績及び財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

リスクの詳細については、ページ上部の「企業のリスク」タブよりご確認ください。

質問回答投資家の皆さまからのご質問にお答えしました

「C-INK」に関して、投資家の皆さまよりいただいたご質問への回答を掲載しました。

※ご質問への回答はC-INKによるものであり、内容はあくまで現時点での計画に基づいたものです。

ビジネスモデルに関する質問

Q: 収益源は導電性インクだけか?ほかにもあるのか。
プリンタなどの周辺機材はどのような扱いなのか?

C-INKの回答(クリックで開きます)

最大の収益源はインクです。試作用プリンターはインク顧客採用を加速する役割で、それと同時にここ数年の売り上げ増にも貢献すると考えています。また、C-INKのナノ粒子製造ノウハウに興味を持つ企業もおり、条件が折り合えば技術指導によるまとまった収入も考えられます。

プロダクトに関する質問

Q: エレファンテックのサイトを見ると他社製品にも銀や銅を使ったナノインクがあるようですが、他社製品と比べた場合に劣っている所は何かありますか?また溶媒が水系であるデメリットなどがあれば教えてください。

C-INKの回答(クリックで開きます)

他社製品はほぼ溶剤系インクです。溶剤系インクは、インクジェットに必要なインク安定性と、低温焼結性を両立できない致命的な欠点があります。そのため、インクジェットで産業利用可能なインク安定性を持たせた場合、200℃以上の高温での焼結が必要で、そのような高温でも利用可能な一部の応用に限られます。高温でのプロセスで良い場合、体積抵抗率がC-INKより良い溶剤系インクがあるようです。次に水系であるデメリットですが、特にないと考えています。

周辺環境に関する質問

Q: 導電性インクを開発、販売、している競合他社は何社ありますか?上場している企業の中ではどの企業が競合となるか教えてください。

C-INKの回答(クリックで開きます)

この分野では日本企業が進んでいます。ハリマ化成、アルバック、ダイセル、バンドー化学等がナノインクを供給していますが、公開ページでのセイコーエプソンのコメントにもある通り、インクジェットに限る場合に競合は存在しないと認識しています。

ファイナンスに関する質問

Q: "今回の募集における募集価格(800円)は、C-INK事業の進展を背景として、2022年に実施した株式投資型クラウドファンディングによる募集価格(650円)を上回っています。"

ということで評価額が約1.2倍になっているかと思いますが、その根拠についてもう少し詳しく考えを教えてください。

C-INKの回答(クリックで開きます)

Garminでの量産開始を考慮すると、1.2倍以上の価値はあると考えています。しかしながら、時価総額を上げすぎると、次回調達に悪影響が出る場合もあり、バランスを考慮して株価を決定しました。

株式会社C-INK

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